一般社団法人 和歌山青年会議所
2025年度 第69代 理事長 石井 勇気
はじめに
青年会議所には様々な学びや出会い、成長と発展の機会が数えきれない程ありますが、 自ら能動的に行動しなければ、充分な機会を得ることができません。私は 2017 年に和 歌山青年会議所の門を叩き、近畿地区協議会や日本青年会 議所へ出向を経験し、数多くの出会いの機会をいただきました。これら青年会議所でしか、得られない経験がなければ今の私はありません。初めて私が青年会議所で担った役職は、近畿地区協議会での委員長という大役でした。当初、物事を後ろ向きに考えていた私は、「そんな大役が自分に務まるはずがない」「失敗したら恥をかくだけだ」と感じ、職務を快く引き受けることができませんでした。しかし、当時の先輩諸氏が私を信頼し、背中を押してくれた言葉が、私の青年会議所に対する価値観を大きく変えてくれました。その言葉は、「青年会議所は、失敗してもよい団体だ。挑戦すればするほど、自分自身の成長として返ってくる」というものでした。この言葉に感化された私は、青年会議所でしか得られない成長に興味を持ち、前進することを決意したのです。長い時間をかけて運動と向き合い自信をもってプレゼンテーションしたまちづくり事業の計画がことごとく反対にあい、やはり自分には無理かもしれないと心が折れそうになった時、私を救ってくれたのは仲間の存在でした。無知な私に自分の時間を削ってまで親身になって寄り添い、指導してくれた姿に尊敬の念を抱いたのです。私はこれらの経験から自己成長に対する自利の精神と他者を思いやる利他の精神を学ぶと同時に、自分の成長にも気付かされました。そして、「人に対する接し方や決断力が変化した」という言葉を仲間からもらった私は仲間と共に更なる成長を追い求め、如何なる苦難も恐れることなく前進し続ける「勇往邁進」の志をもって組織を牽引し、様々な課題の解決に向けて地域に寄り添って行くなかで、市民が誇れる郷土愛に満ちた和歌山市を創りたいという強い想いが生まれたのです。青年会議所は、時代に応じて柔軟に変化し、地域の課題に対して持続可能な運動を展開し、個人の成長を促進する組織です。人は新しい行動を起こす際に失敗を恐れ、消極的になりがちですが、青年会議所ではその固定観念を打ち破り、新たなことにも自信を持って積極的に取り組める環境があります。青年経済人として、失敗を恐れず向上心を持ち、「勇往邁進」の志で取り組むことこそが、地域の未来を変えるのです。
私たち個々の力を集結させることにより、地域に貢献できる力が無限大に広がります。私が思い描く組織とは、如何なる苦難や高い壁に対しても当事者意識を持って立ち向かう強靭な組織です。人は必ず苦手とする部分があり完璧な人間など存在しません。しかし、苦手な部分も互いに助け合い学んでいくことにより自分自身を高めていくことができます。
そのためには、青年会議所活動を心から楽しみ、積極的に取り組む意識を育み、組織の結束力を強固なものにすることが不可欠です。
「市民が必要とする魅力的な情報発信」
近年では様々な情報発信ツールが活用され、簡単に情報を発信できるようになった一方、情報を取得する側は自身に有益な情報を受け取ることが可能になりました。広報においてはただ漠然と発信するだけでは私たちの想いに共感いただくことは困難です。発信したい情報を吟味し、どのように伝わってほしいか、求められている形で伝えられているかを考えながら発信することで受け取る側に共感を生むことが必要です。私たちが住み暮らす和歌山市には数えきれないほどの地域資源や観光資源による魅力が存在します。それらの魅力を活用した私たちの活動や運動に対して目を引く手法で発信することが求められています。私たちが発信する広報から和歌山青年会議所の活動や運動に対して共感していただく市民を創出することを目標に運動を展開してまいります。
「笑顔があふれる豊かなまちづくり」
和歌山市には他の都市にも引けを取らない素晴らしい歴史や文化が存在する一方で、人口減少など多くの問題も存在しています。和歌山青年会議所がまちづくりを行ううえで様々な角度から地域課題を抽出し、事業構築を行い地域の魅力を発信していくことが必要です。そのなかで私たちが忘れてはいけないのが「何をするのか」ではなく「何が求められているのか」を理解することではないでしょうか。そのためには私たち自身が和歌山市の現状や行政の動向などを把握し議論を重ねることが必要であり、市民から求められているまちづくりを実現することで初めて、まちが市民の方々が理想とするまちへと変革し、やがて笑顔があふれるまちへと繋がります。私たちが率先してまちを活性化させるという当事者意識を備え、課題に向き合い、ニーズを捉えたまちづくりを展開し、地域の方々を巻き込むことで持続可能なまちづくりを創造してまいります。
「地域を担う新たな同志の拡大と成長」
現在の和歌山青年会議所は入会3年未満のメンバーが男女ともに約半数を占めています。和歌山市の未来を担う若いメンバーに明るい豊かな和歌山市の実現のための運動に向き合う多くの機会を与え、青年会議所にしかない様々な経験と学びや青年経済人としての当事者意識を得ることで、地域を牽引するリーダーとしての自覚を創出してまいります。また、地域をより良くするには私たちの想いに賛同していただける同志が必要不可欠です。メンバーの拡大においてはメンバー全員で拡大の意識を高めて拡大運動を実施し、メンバー一人ひとりが周囲の人々に青年会議所の魅力を伝え、共感していただくことでこれからの地域を担っていく青年を入会に導き、共に成長できる同志を増やしてまいります。
「新たな学びと友情」
国や地域によって価値観は様々です。今後私たちが継続して和歌山市で住み暮らしていくうえで急速に時代が変化し、予想だにしない地域課題が訪れる可能性も十分に考えられます。姉妹 JC とのまちづくりに対する相互理解を深め、如何なることにも柔軟に対応できる学びを得るとともに友情を育むことによりお互いに感化し合い、青年経済人としての向上心が創出されます。また、地域の魅力を最大限発信する活動を続けていくためにも、和歌山青年会議所と同規模の青年会議所から新たな発展や思いがけない気付きを取り入れることが必要です。
「持続可能で強靭な組織づくり」
青年会議所の活動資金は会費から成り立っています。そのため、活動資金の適正な運用及び費用対効果を最大化することが必要です。また、組織の透明性を維持するためには、総会による意思決定と厳格なコンプライアンスの下、審査と管理を徹底します。適切な資金運用と透明性は持続可能で強靭な組織の必須条件であり我々が地域貢献を目的に生産性の高い運動を実施する基盤となります。さらに来るべく2026年には近畿地区大会が開催されるため、メンバーの意識を高めるとともに和歌山青年会議所の組織力を向上させる必要があります。
結びに
時代が急激に変化する中、我々JAYCEE は創始の精神を胸に、地域課題に向き合い、時代に即した柔軟性も備えながら、何事にも積極的に運動を発信する確固たる想いと行動こそが、必ず明るく豊かな和歌山市に繋がります。私たち青年には無限大の可能性が秘められています。一人ひとりがこれから得られる無限大の成長を自らつかみ取り、地域に寄り添うことこそが、地域、大切な家族、友人、そして仲間といったかけがえのない存在も豊かにするでしょう。自身の成長と地域を想う気持ちで、共に歩を進め、郷土愛に満ちた和歌山市を創造しましょう。