理事長所信

理事長所信

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一般社団法人和歌山青年会議所
2019年度 第63代 理事長
山 路 由 剛

はじめに

私は和歌山青年会議所にて活動していく中で、初めて人生の価値、ひとの本来のあり方について気づかされました。多くの青年世代の若者たちが、仕事や家族、恋人との大切な時間を削り、自分たちの稼いだお金を持ち寄り、自らに責任を課し、誰かの笑顔のために汗水を流す。そして、一つの事業が終わると仲間同士で喜びを分かち合い、皆で大いに笑います。私はその時にいつも想います。人生の価値とはどれだけ永く生きたかではなく、どれだけ裕福かでもなく、どれだけ心奮わせる瞬間に出会えたかではないかと。また、ひとはひとである以上、周りのひとの笑顔や温もりを感じて初めて幸福感に満たされるのだと。この気づきをできるだけたくさんのひとにも気づいてもらい、できるだけたくさんのひとに笑って生きてもらうことが、私の願いであります。

2019年、「平成」という一つの時代が幕を降ろします。1989年のバブル景気の中で幕が上がり、その後のバブル崩壊やリーマン・ショックなどの経済情勢の悪化や、阪神・淡路大震災、東日本大震災といった大災害に深手を負いながらも、国難を乗り越えてきた時代でありました。また、1995年以降のITの急激な普及により、誰もが世界中とつながり、ありとあらゆる情報を手に入れることのできる高度情報化社会へと進化し、革新的な産業が次々と生まれる中、個々の道徳的価値観が問題視される時代でもありました。そして、その激動の中で新たな時代の幕が上がります。
今、私たちが住み暮らす和歌山市は、産業衰退に端を発し、人口流出に伴う人口減少と少子高齢化、市街地の空洞化現象といった多くの課題を抱えており、まちの未来が危ぶまれる今こそ、私たち青年会議所のような地域に根付き、地域を愛する青年たちの先導が必要であります。また、私たち和歌山青年会議所がこの先も永く、まちを牽引し、まちに必要とされる組織であり続けるには、変わらぬ信念を持ち続ける強さと、時代に則した運動展開を構築できるしなやかさを持たなければいけません。そのためには、以下の五つの取り組みが必要であると私は考えます。

会員の拡大と若きリーダーの育成

「明るい豊かな社会の実現」という大きな目的を達成するには、多くの力を必要としますが、その中で最も必要な力は、25歳から40歳という人生で貴重な青年期に同じ志を持ち協働してくれる仲間の存在です。実社会では一人や十人で声を上げても、たちまちその声はかき消されてしまうでしょう。しかし、その数が百、千、万ともなれば一つの大きなうねりとなり、流れを変えることができます。だからこそ、私たちとともに「明るく豊かな社会は自らの手で築かなければならない」という当事者意識を持ち、目標に向けて行動を起こせるひとを一人でも多く増やすことが、青年会議所の最大の運動であると位置付けし、メンバー全員で一丸となって取り組んでいくことが重要であります。
会員の拡大においては、まずは代表である私自身に責任を課し、メンバーに号令をかけて常に鼓舞していくことで、運動展開の気運を高めていきます。そして、緻密な戦略を立て、誰か一人に任せるのではなく、多様な人材で候補者と対話し、心から協働したいと言ってくれる仲間を増やしていきます。また、私たちの想いを次代へとつないでいくには、傑出した若きリーダーの育成が必要です。入会歴の浅いメンバーのみならず、皆が役割を持って事業に取り組み、仲間とともに活動することの楽しさや苦しさ、機会を得ることの尊さを感じてもらい、能動的かつ他を思いやる心を持った人材を育成します。

「ひと」と「ひと」を結ぶまちづくり

和歌山市には私たち以外にも「このまちをより良くしたい」という想いを持って活動されている「ひと」が多くいます。行政に携わる方やボランティアに勤しまれる方、まちの伝統・文化を残していこうと尽力される方、若者を集めようと様々なイベントを開催される方、その多様性は幅広く、皆が独自の形でまちを照らしてくれています。これはまちの大きな力と言えますが、その力がうまく機能できなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。私は和歌山青年会議所こそが「ひと」と「ひと」を結び、まちの持つ魅力を最大限に引き出せる組織であり、これこそが今の時代に私たちが取り組むべきことだと考えます。
和歌山青年会議所のメンバーはそれぞれが多種多様な産業を営み、男女問わずその業界において影響力を持つ人材が多く集っています。しかも、その個性が反発し合うことなく厳格さと融和性を兼ね備えた強靭な組織として機能し、さらに、60年以上蓄積された信頼と実績という大いなる財産を有しています。これはダイバーシティの体現とも言えます。そんな私たちが先駆けて地域の架け橋となり、「ひと」と「ひと」を結ぶまちの仕組みを構築することで、まちの発展に向けた多くの新たな可能性が生まれ、皆が夢に向かって挑戦していけるまちへと変革していきます。

学びの機会を得て自己の視野を広げる

事業を構築するにあたり大切なことは、課題に対してどれだけ広い視野を持って取り組むかであります。その背景にはどういった原因が含まれているのか、より良くしていくにはどのような手法が有効か、持続可能な状態にしていくには何が必要であるかを模索し、そして、皆を笑顔にできるかを想像していかなければならないからです。しかし、個人レベルでの多様化が広がる現代においては私たちが今まで培ってきた知識や経験による、「常識」や「モラル」といった社会通念だけでは見える範囲は限られています。まずは初心に立ち返り、自分たちの弱さと向き合うことで、自分たちに足りないものが見えてきます。そして、それを克服した時に今までより遠くまで見渡せる視野が手に入ります。
しかしながら、ひとは全く興味の無いものを学べと言われてもなかなか頭には入りません。例会ではできるだけ自分たちの生活や取り巻く環境に密接なテーマに絞り、メンバーが関心を持って学びを得ることのできる場とします。また、時として市民の方々にも場を開放し、共に学んでもらうことで、私たちの想いを直に伝える場ともします。さらに、皆が修養したことを自分なりの見地で意見を述べられる場を設け、知識と経験に深みを持たせていきます。また、各種大会には多くのメンバーで参加し、より高度な学びを得て、個々の能力を高めていきます。

文化的な親交を育む国際交流

最近、国内の各メディアにて「日本のここが素晴らしい」といった日本という自国を褒め称える内容をよく見かけます。確かに、日本は敗戦後すぐに立ち上がり、わずか数十年で経済大国として世界で台頭し、バブル崩壊後は低迷したとはいえ、治安も良く物心豊かな国ではあります。しかし、隣国のアジア諸国にも国と成すまでいくつもの戦争がありました。また、国となってからも大きな国難があり、それを乗り越えて近年に著しい経済成長を続けております。中国に至っては2010年に日本のGDPを抜き去り、現在も大きく差が広がってきています。私たちは青年経済人としてこの事実を受け止め、地域経済発展に寄与すべく、隣国の文化・歴史から学ぶべきことが多いのではないでしょうか。
私たち和歌山青年会議所には数十年来の友情を育んできた海外の友がおり、本年も友人として多くを語らい、多くを学び、言語の壁を越えて友情を育んでまいります。相手のことを深く知るには「郷に入っては郷に従え」という諺があるように、相手の文化に溶け込むのが一番の近道であり、その逆もまた然りと考え、文化面での交流を強く図っていきます。そして、交流する中ではそれぞれの地域の風土や風習、信仰や歴史などが顕著となる祭事などに参画し、互いの理解をさらに深める好機とします。

次代につなぐ確かな組織づくり

運動を展開していくにあたり、最大限の効果を発揮するには強固な組織体制と迅速に判断し実行に移せる組織力が必要です。そのためには、まずは自らが模範となり、規律と規範の大切さを周知徹底し、円滑なる運営が行える環境に整備します。そして、厳粛な総会を執り行い、全員の意志の統一を図ります。また、財政面においては皆の有志で作られた財源を適正に運用できるよう、公益性やコンプライアンス面は厳格でありながらも、事業構築への想いには柔軟な心を持って臨み、より良い事業となるよう審査します。さらに、私たちの想いや活動の一挙手一投足、その場の臨場感が伝わるよう、様々な媒体を活用して市民の方々に広報し、共感の輪を広げていきます。
2020年に和歌山市にて近畿地区大会が開催されます。開催に向けて多くの準備が必要であり、組織基盤をさらに固めなくてはなりません。まずはメンバー全員が友として親睦を図る機会を設け、メンバー間の絆を深めます。そして、大会開催の際にはシニア・クラブの方々の大きな力が必要になります。様々な場面で厚く交流を図り、私たちの大会にかける想いを伝えていき、助力を賜ります。また、出向者には大きく成長してもらえるよう、メンバー全員で支援にあたります。さらに、行政や関係諸団体の事業にも率先して参画し、磐石な協力関係を築いてまいります。

結びに

私たちは「明るい豊かな社会」の実現に向け、地域のリーダーとして「何ができるのか。」ではなく「何をしなければいけないのか。」を探究し、運動を起こしていかなければなりません。物事には様々な見え方があり、また、それが良いことなのか悪いことなのかの判断が非常に難しい時が多々あります。その時はまず、そこに関わるひとたちの笑顔を想い浮かべてください。ひとはひとを笑顔にしようとする時、自然と心が高揚し活力が溢れます。そして、その範囲を広げようとすればするほど、自らの価値観や偏見が取り払われ、自由な発想が生まれてきます。また、その情熱は必ず多くのひとに伝わり、運動の輪が広がっていきます。最初は小さな波紋しか起きないかもしれません。しかし、私たちが諦めることなく活動を続けていけば、まちには他の幸福を思いやり「探究」する心を持ったひとが増え、まちの未来は明るくなっていきます。
 まちはひとをなくしてはまちとは呼べません。ひとは心をなくしてはひととは呼べません。そして、心は挑戦なくして大きく成長することはありません。しかし、挑戦することは決して容易ではありません。不安に胸が押し潰されそうになり、心ない言葉で傷つけられ、多くの犠牲を払うこともあるでしょう。それでも私たちは歩みを止めてはいけない。愛する家族や仲間のために。それでも私たちは探し続けなければいけない。今はまだ見えない未来を照らす光を。それがこのまちで住み暮らす私たちの使命だからです。

いつもいつまでも、「ひとを想い先駆する青年たれ」

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